たかが腰痛、されど腰痛。
誰でも一度は経験のある腰痛。ほとんどの場合は危険性の低い腰痛ですが、なかには危険性の高い腰痛もあります。
危険性の高い腰痛を「単なる腰痛」だと思い放置すれば、場合によっては取り返しのつかない事態になってしまうことも。
しかし、多くの人が危険性の高い腰痛を見分ける術を知りません。
本ページでは、そんな方々に向けて「危険性の高い腰痛の見分け方」をくわしく紹介させていただきます。
いざというときに困らないように、ぜひ最後までご覧ください。
危険な腰痛の見分け方
腰痛がでたときには、以下の症状や状態にあてはまるものがないかチェックしてみましょう。
以下の項目に該当する腰痛の場合は、そのままにせずに専門の医療機関でくわしい検査を受ける必要があります。
- 排尿や排便に支障をきたしている
- 足に力が入らない
- 何もしていないのに腰が強く痛む
- 体重が減少している
- 胸の痛みを伴う
- 高齢者で転倒や尻もちによる腰痛
では、それぞれの項目について以下でもう少し解説していきます。
排尿や排便に支障をきたしている
排尿をしたいのにできない。排便をしている感じがしない。
このような症状が腰痛と同時にでた場合は「馬尾神経」と呼ばれる大きな神経に問題が生じている可能性があります。
馬尾神経に問題が生じる聞き馴染みのある疾患でいえば、腰椎椎間板ヘルニアです。
また、圧迫骨折や脊髄腫瘍などでも馬尾神経に問題が生じる場合があるため、早期にくわしい検査を受けて適切な処置を受ける必要があります。
足に力が入らない
足に力が入らない。踏ん張りがきかない。
このような症状が腰痛と同時にでた場合は、排尿や排便の問題と同様に「馬尾神経」の問題を疑います。
ただし、これらの症状は軽度の腰痛や坐骨神経痛にもみられることのある症状です。
そのため、必要以上に怖がる必要はありませんが、症状が長時間続く、足にほとんど力が入らない状態の場合などは早期にくわしい検査を受けましょう。
何もしていないのに腰が強く痛む
まったく動いていないのに腰が激しく痛む。時間によらず常に腰が痛い。
このような症状がでた場合は、内臓に問題がある可能性があります。
通常、筋肉や関節に問題があるスタンダードな腰痛であれば、動いたあとに痛む、起床時に腰が痛むなどの、一定の特徴があるものです。
しかし、内臓に問題がある場合の腰痛はそれらの特徴がなく、何もしていないときに痛んだり、時間関係なく痛んだりします。
もちろん、内臓の問題を整形外科や整骨院などで対処することはできませんので、このような症状がでた場合は専門の医療機関でくわしい検査を受けましょう。
体重が減少している
ダイエットもしていないのに体重が減少していく。急激に体重が減った。
このような症状がでた場合は、みなさんもご存知の「癌(悪性新生物)」の可能性があります。
癌による腰痛は「骨転移」と呼ばれる、癌が骨に転移したときに痛む場合が代表的です。
そのため、癌になると必ず腰痛がでるわけではなく、むしろ腰痛がきっかけで癌に気づくケースは稀でしょう。
胸の痛みを伴う
腰痛と同時に胸が強く痛む。
このような症状がでた場合は「大動脈解離」の可能性があります。
大動脈解離とは、大動脈が避けて血液が本来血管の外壁内に流れ込んでしまう疾患です。
最悪の場合は、血管の外壁が避けてしまい大量に出血により死に至るケースもあります。
もし、強い胸の痛みを感じた場合は一度医療機関でくわしい検査を受けましょう。
高齢者による転倒や尻もちによる腰痛
歩いていて転んだ。椅子から落ちて尻もちをついた。
高齢者で、このような原因から腰痛がでた場合は「圧迫骨折」の可能性があります。
圧迫骨折とは、みなさんご存知のとおり、腰の骨が潰れてしまう骨折のこと。
とくに、骨が脆くなりやすい高齢者のよる発症が多い骨折です。
圧迫骨折の場合、医療機関で画像検査などをして、どこの骨が折れているか、その他に問題がないかを確認する必要があり、症状によっては入院となる場合もあります。
多くの方が「骨折していたら歩けない」と認識をされていますが、圧迫骨折をしても歩けなくなるわけではありません。
そのため「歩ける・歩けない」を圧迫骨折の判断材料とせずに、高齢者で転倒や尻もちをついて腰痛を伴う場合は、しっかりと医療機関で検査を受けましょう。
救急車を呼ぶべき危険な腰痛の見分け方
危険な腰痛の見分け方についてお伝えさせていただきましたが、なかに一刻を争うものもあります。とはいえ腰痛で救急車を呼ぶのも躊躇してしまいますよね。
そこで、以下に「救急車を呼ぶべき腰痛の特徴」をご紹介させていただきます。
この特徴は、実際に兵庫県姫路市のホームページ内でも記載されている内容です。
- 痛みが強くて動くことができない。または、自力で病院を受診することができない。
- 突然痛み出し、更に強くなってきた。
- 強く痛む場所が移動する。
- 急に足がしびれてきた。または、足のだるさが強くなっている。または、足を動かせない。
- 赤い尿が出た。または、尿をするときに激しい痛みがある。
- 便や尿が漏れる。
上記の特徴がある腰痛の場合は、すみやかに救急車を呼びましょう。
その結果、取り越し苦労だったとしても、公的機関が救急車を呼ぶべき特徴として記載している腰痛に該当しているため何の引け目を感じる必要もありません。
緊急性は高くないが放置していると危険な腰痛の見分け方
緊急性の高い危険な腰痛の見分け方をお伝えさせていただきましたが以下で、緊急性はそこまで高くはありませんが放置していると危険な腰痛の特徴を記載しています。
- 腰痛が1ヶ月以上続く
- 腰痛が日を重ねるごとに強くなっている
- 太ももや足に軽いしびれを伴う
- 腰痛が不規則に出たり消えたりする
これらの腰痛の特徴を感じたことがある方も少なくはないでしょう。
しかし、これらの特徴がある腰痛を放置していると、最終的には大きな手術をしなければならない状態になることがあります。
そのため、少しでも「おかしいな?」と感じたら専門の医療機関を受診しましょう。
危険な腰痛は整体院でも見分けることができる?
残念ながら、危険な腰痛を整体院で100%見分けることはできません。
これは、整体院にかぎらず整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック院を含む医療機関以外のすべての施設に言えることです。
まず、医療機関以外の施設ではくわしい「画像検査」を受けることができません。また、医師による診察・診断を受けることができるのも医療機関のみです。
そのため、いつもの腰痛と少しでも違う点や、ここまでの内容でお伝えさせていただいた特徴がある腰痛の場合の第一選択は医療機関だとお考えください。
「医療機関で危険な腰痛なのかを検査を受けて確認」→「危険な腰痛の場合は然るべき処置を受ける。何も問題がなかった場合は整体院などの施設で施術を受ける」という流れが、もっとも理想的だと言えるでしょう。
【あなたが整形外科やマッサージに行っても腰痛が再発する3つの理由】
まとめ
危険な腰痛の見分け方をお伝えさせていただきました。
少し不安を煽るような内容となってしまいましたが、腰痛から重病が発見されるケースは多くはありません。
また、腰痛の約70%が医療機関で検査を受けても正確な診断が行えない腰痛だと言われています。
しかし、いくら腰痛から重病が発見されるケースが多くないとしてもゼロではないかぎり、ご自身の身を守る行動として早期の医療機関の受診や救急車の要請を行うことは必要です。
いざというときに正しい行動がとれるように、本ページの内容を少しでも頭の片隅に置いていただければ幸いです。